東京都内では9月1日、新たに3168人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、10日連続で前の週の同じ曜日を下回りました。ピークアウトを感じさせる数字ですが、コロンビアで1月に初めて報告され、世界保健機関(WHO)が8月末に「注目すべき変異株」に分類した変異した「ミュー株」が検出されたと同日に厚労省が発表しています。
また、第一生命保険は、新型コロナウイルスに感染すると10万円の保険金が受け取れる保険商品について、9月1日から販売を一時的に休止すると発表しました。国内の感染状況に応じて保険料が変動するしくみですが、感染者が想定外に増えて保険料を大幅に値上げしなければならなくなり、商品が維持できなくなると判断したためです。
保険販売当初の想定以上に感染者数が爆発的に増えている証でもあります。
では、東京都9月1日現在の検査陽性者の状況は、どうなっているのでしょうか?
宿泊療養:2,180 人
自宅療養:19,797 人
入院・療養等調整中:6,870 人
となっています。
自宅療養している方が2万人弱。入院、宿泊療養ができずに、とても不安な毎日を過ごされていると思います。
FPとして気になるのは、お金のことです。
療養期間に就労できなかった場合の対策を二つご紹介します。
1.傷病手当金
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
支給される条件
傷病手当金は、次の(1)から(4)の条件をすべて満たしたときに支給されます。
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象となります。また、自宅療養の期間についても支給対象となります。ただし、業務上・通勤災害によるもの(労災保険の給付対象)や病気と見なされないもの(美容整形など)は支給対象外です。
(2)仕事に就くことができないこと
仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます。
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。
また、就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガについて仕事に就くことができない状態となった場合には、その日を待期の初日として起算されます。
(4)休業した期間について給与の支払いがないこと
業務外の事由による病気やケガで休業している期間について生活保障を行う制度のため、
給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。
ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。任意継続被保険者である期間中に発生した病気・ケガについては、傷病手当金は支給されません。
コロナウイルス感染症に限定すると、下記の場合も傷病手当金の支給対象となりうるとされています。(厚生労働省保険局保険課)
・被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染しており、療養のため労務に服することができない場合。
・被保険者には自覚症状はないものの、検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合。
・被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため労務に服することができない場合。
※申請先は、全国健康保険協会などの健康保険組合等になります
2.民間の医療保険
昨年4月、代理店をしている保険会社から通達が届きました。
「新型コロナウイルス感染症に罹患されたお客様への入院給付金のお支払いにつきまして」
と題された書面です。
内容は、新型コロナウイルス感染症に罹患されたお客様への入院給付金のお支払いついて、医療機関の事情などにより、医師の指示で、自宅または、その他病院等と同等とみなされる施設(ホテル等の滞在型施設)で治療を受けられた場合も、その治療期間に関する医師の証明書等を提出することで、入院給付金をお支払いしますというものでした。
医師の指示で、やむなく宿泊施設や自宅での療養を余儀なくされ、その際の入院給付金等の支払いを保険会社に請求するときには、宿泊施設や自宅療養が必要となった旨の証明が必要になります。医療機関から証明書を取り付ける方法はさまざまです。
最初に保険会社へ連絡して、請求手続きについて問合わせしてみると、スムーズに手続きできます。自宅療養だから入院保険金はもらえないと諦めず、受診した医療機関と、加入している保険会社に問合せすることをおすすめします。
入院した人も同様ですが、受け取れる保険金額は、個々の契約内容(支払い条件)や実際の加入状況等によって異なります。各生命保険会社は、みなさんの契約に付帯されている特約等も確認したうえで、受け取れる保険金の支払いをしてくれます。自分の契約内容の詳細を把握するのは難しいと思います。その点も踏まえて、加入している保険会社へぜひ問合せをしてみてはいかがでしょうか?
今日ご紹介した傷病手当金、民間の医療保険いずれの場合も、保障を受けるためには自分で請求する行動をおこさないと受給することができません。まずは情報収集して、当然の権利として受給できるものを申請してください。くれぐれも「知らなかったからもらえなかった」ということがないようにしてくださいね。
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