福祉分野専門のファイナンシャルプランナーをしていると、「障害年金を受給してるけど、老後資金はどうしたら良い?」と訊かれることがあります。私がいつもお勧めしている方法を今日はご紹介したいと思います。
それは、iDeCo(イデコ)です。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。この制度への加入は「任意」で、自分で申し込み、自分で掛金を拠出し、自らが運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受けることができます。また、掛金、運用益、そして給付を受け取る時には、税制上の優遇措置が講じられています。
自分でお金を出す ⇒ 自分で運用 ⇒ 年金を受け取る という流れになります。
では、 iDeCo にはどんな人が加入できないのでしょうか?
国民年金保険料が未納状態になっている人や、国民年金保険料の全額または一部を免除されている人、学生納付特例制度を利用して保険料納付を猶予されている学生は加入資格がありません。国民年金保険料を納められないほどお金に困っているのに、iDeCoにお金を払うのはちょっとおかしな話になってくるからです。
では、障害年金(2級以上)を受給している方はどうなんでしょうか?
障害年金(2級以上)を受給している方は「法定免除」で、国民年金保険料の納付を免除されていると思います。もちろん、老後の年金額を満額に近づける為に法定免除されていても国民年金保険料を納めている方もいらっしゃると思います。特に精神疾患などの有期年金の場合、病状が良くなり(寛解など)障害年金が更新されないケースの場合にはとても有効だと思います。
しかしながら精神疾患が回復せずに一生涯、障害者年金を受給する場合は、国民年金保険料のかけ損になるケースも出てきます。(厚生年金のことは考慮せず)
障害基礎年金2級の額=老齢基礎年金満額
だからです。
そこでお勧めしたいのが、iDeCoです。先ほどiDeCoに加入できない人の例を挙げましたが、障害年金受給者(2級以上の法定免除者)は加入できない人から除外されています。すなわち、iDeCoに加入できるのです。
ちなみに法定免除とは、障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている方になりますので、比較的病状の軽い3級以下の方は国民年金保険料を支払った上でiDeCoに加入することになります。
もし障害厚生年金2級から3級への等級落ちした場合、法定免除が適用されなくなります。この場合、国民年金保険料を納付しないとiDeCoへの拠出ができなくなります。
iDeCoのメリット
・ 掛金が全額所得控除
毎月の掛金全額が税額軽減の対象となり、税金が軽減されます。
仮に年収 300万円・年齢 30歳・掛金 10,000円でiDeCoに加入した場合
⇒軽減される税金は、60歳までの30年間で、54万円になります。
・運用益も非課税で再投資
通常、金融商品を運用すると、運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、iDeCoなら非課税で再投資されます。
・受け取る時も大きな控除
iDeCoは年金か一時金で、受取方法を選択することができます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)。年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
iDeCoのデメリット
・原則60歳まで引き出すことができない
・老後に受け取る年金額が事前に確定しない
・運用のリスクは加入者自身が負う
・自分で金融機関を選んで手続きをする必要がある
・投資に関する知識がある程度必要
iDeCoにはどのような人が加入できるのか?
iDeCoには、基本的には60歳未満の全ての方が加入できます。具体的には、次の条件に該当する方になります。
① 国民年金の第1号被保険者
自営業者やフリーランス、学生および無職の方など(国民年金保険料の免除などを受けている方、農業者年金の被保険者の方を除きます)。
② 60歳未満の厚生年金保険の被保険者(第2号被保険者)
・企業年金制度のない会社員の方。
・iDeCoに加入することを認めている企業型確定拠出年金の加入者の方。
・確定給付企業年金・厚生年金基金に加入している方。
・国家公務員・地方公務員の共済組合員の方、及び私学共済の加入者の方(私学共済の加入者の方のうち、iDeCoに加入することを認めていない企業型確定拠出年金の加入者の方は加入できません)。
障害者雇用で働いている方はこの第2号被保険者に該当します。
③ 国民年金の第3号被保険者
専業主婦(夫)の方など。
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)では、毎月拠出できる掛金に上限があります。上限となる金額は、個人の属性によって異なります。まずは、ご自分がどこに属するかを確かめ、掛金の上限を把握しておきましょう。
(イオン銀行ホームページより)
加入申し込みから実際に掛金が引き落とされるまで約2ヶ月程度かかります。最初は書面の記入や郵送など少し手間ですが、やる価値は十分にあると思います。
また、加入後にご自分で投資信託(ファンド)を選択するのですが
・購入時手数料がないもの
・運用管理費(信託報酬)が低いもの
・信託財産留保額がないもの
をチェックしましょう。
特に運用管理費(信託報酬)には商品によってかなり幅があります。
また、あらかじめバランスよく(国内株式・外国株式・国内債券・外国債券)を組み合わせてパッケージになっている商品もあります。ご自分の将来設計や年齢によって選んで頂きたいと思います。
iDeCoにご興味のある方は、iDeCo公式ページで確認してみてください。
またiDeCoに近い制度で、老後の資金の積立で有名なのが、国民年金基金です。
国民年金基金もとても良い制度ですが、法定免除を受けている人は引き続き国民年金保険料を納付することが条件なので、ひとつハードルがあがります。
老齢年金は少子高齢化で、とても運営が厳しい時代になっています。今後年金受給額の減額もかなり現実味を帯びてきました。少しでも自助努力で自分らしく生きる為の資産形成をしなければならない時代です。その一助となる制度を今日はお伝えしました。老後資金を考えるきっかけになってもらえたら幸いです。
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