入院時に個室を希望すると差額ベッド代がかかります。差額ベッド代は1日数万円になることもありますが、全額自己負担になります。実は、患者の同意がないと病院は差額ベッド代を請求できないのをご存知でしょうか?
厚生労働省が病院に対し、「患者に請求してはならない」と通知しているケースを確認してみたいと思います。
そもそも差額ベッド代は4床以下の部屋で、個人用の収納や照明を備えたり一定条件を満たせば対象になります。2016年には約21%に達し、個室だと2割近くが「1日1万円」を超えています。
健康保険が適用される医療費には、患者の自己負担上限額を定める高額療養費という仕組みがあります。(関連ページ:「高額療養費制度」で医療費の家計負担を減らそう)一般的な所得なら1カ月の医療費が100万円かかっても、自己負担は9万円弱ですみます。一方、差額ベッド代は全額自己負担。高額療養費を知っていても、差額ベッド代への不安から民間の医療保険に入る人も多いのが現状です。
最新の厚生労働省の通知によると
(1) 同意書による確認がない
(2) 治療上の必要がある
(3) 患者の選択でなく病棟管理の都合
の3つの場合は差額ベッド代を請求できないと明記しています。
(2)の「治療上の必要がある」の例としては、手術後などで病状が重篤なため安静が必要な場合、がんの終末期で医師から個室を指示された場合など。こうした場合は「同意書を求めること自体が不適切」というのが厚労省の見解です。ただし、手術後などでも「大部屋で大丈夫」と言われたのに、自ら個室を希望したのなら差額ベッド代が必要になります。
(3)の「病棟管理の都合」の例として初めて「他が満床なので差額ベッドの部屋に入院させた場合」という例が入っています。ただ、快適な療養環境を望む患者が同意書に署名すれば請求は可能で、「絶対に差額ベッド代を請求できないという趣旨ではない」とされています(厚労省)。
厚労省の通知はインターネットで「厚労省 保医発0305第6号」と検索すれば出ます。このうち「12 特別の療養環境の提供」が差額ベッドの関連事項なので、これから入院を控えている方は一読をお勧めします。
日ごろお世話になっている病院と揉めたくないために、言われるがまま差額ベッド代を支払ってしまうケースもあると思います。安心して治療を受けるためには無駄な出費を減らし、経済的な負担を減らすことはとても大事です。同意書にサインするか否かで、月30万円以上の出費を減らせる場合もあるので、是非知っていてもらいたい情報です。
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